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白黒ザー激突歯折れ事件

2005年3月頃、

つわりの症状は全くと言っていいほど
なかったが、妊娠初期の頃は貧血に悩まされた。

妊娠3ヶ月を過ぎた頃、
いつものように会社に出勤するために家を出て、
駅までバスに乗った。

毎日バスはほぼ満員で、
お腹もまだ目立たないから譲ってくれる人も
いるはずもなく、長い坂の道をゆらゆら
揺られながら、つり革にはしがみつき足元は踏ん張って、
駅に着く頃にはフラフラ顔面蒼白になっていた。

普段なら駅のホームのベンチで一息ついてから
電車に乗り込むところなのだが、
ちょうどその日はホームに到着すると同時に
電車がやってきたのでそのまま乗り込んでしまった。

電車も座れない程度に混んでいる。
ひとつ先の駅で乗り換えるため、ドアのすぐ前の
つり革をつかんで立っていたが、

突然信じられないことがおこった。


前が見えない。


テレビ放送が終わった後の「ザー」という
白黒の入り混じった映像に酷似した風景が私を囲んでいる。

目の奥が痛い。

自分の顔は確認できないけれど、
まるでめんたまがくりぬかれたかしたりして、
黒目の色が真っ白になってしまったんじゃ
ないかと錯覚した。

つり革につかまりながら静かに焦っていると
駅に着いたのか、サーとドアが開いた。

降りなくちゃ。

よろよろと電車を降りた。

白黒のザーの映像の奥に辛うじて乗り換える人の群れや
駅の階段のシルエットが見える。

とにかく、一度落ち着かなくてはいけない。

階段を下りてすぐ右手にトイレがあったことを思い出し、
かすかにシルエットで確認できる階段の手すりを
つかみながら足早に階段を下り、トイレを目指した。

階段を降りきったところで、確かにうっすらとトイレの
標識が見え、まっすぐ歩いていく。


ドゴッ。


激しい衝撃と、鈍い痛みと血の味を感じながら
それでも歩き続けたが、ものすごいめまいに襲われて
女子トイレ入り口のすぐ手前でよたよたと力尽き
うずくまった。

どうやら顔半分、思いっきり柱かなにかに強打したらしい。
どうやら銀歯が外れて歯医者にいかなきゃなぁって思っていた
奥歯が折れて、口の中はたいへんなことになっているらしい。

通りすぎる人の視線を感じながら、早く立ち上がらねばと
思ってはみるもののどうにもこうにも動くことさえできず
うなだれていると、1人の女性に助けられた。

「大丈夫ですか!?」

その人に肩を抱えられると、白黒のザーがだんだん消え、
普通に目が見えるようになってきた。

心配そうに見つめてくれているきれいな女性の顔。
同姓ながらドキッとしてしまった。

「私も貧血とかあって、気持ちわかるんですよ。
 なにか飲み物買ってきますね」

ああ、私貧血なんだ。
今更ながらに気がついてしまった。

売店で買ってきてくれたお茶を手渡され、
お金を払わなきゃ!キレイなお姉さんにお金を払わなきゃ!
と慌てて財布を出して小銭入れを開くと、
その時に限って小銭入れには所持金3円(涙)
お姉さんのご好意に甘えてお茶を頂いてしまった。

お姉さんが去った後、駅前のベンチにやっと腰を下ろし
鏡で自分の顔を確認すると、眉毛の上が少し擦り切れて
赤くなっていた。案の定、歯も欠けていた。
後から確認したら、どうやら私は階段とトイレの間に
あるエレベーター乗り場のレンガ調の壁に思いっきり
向かっていって強打したようだ。
26歳にもなって歯が欠ける女って…

つわりがないからって自分の身体を甘くみていたようだ。
貧血にはひじきだ、プルーンだ、とにかく鉄分だ!


ところで、、
今改めて考えると、きっとあのお姉さんは
私よりも年下だったかもしれない。。

でもあの時は、頼もしいお姉さんに見えたのだ!
この際私の年齢は関係ない(キッパリ)

お姉さん、助けて頂いてどうもありがとうございました。








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ぴょんきち

Author:ぴょんきち
未就学児2人を子育て中です。うっかりものの母ですが、自分も子供と一緒に成長していきたいな、としみじみ思う今日この頃です♪一度きりの人生、楽しまないとソンソンソン♪だな、と。

新聞奨学生をしながら葛藤していた大学時代の痛すぎる(笑)過去日記もひっそり公開中。

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